ニセコの森に包まれ、カラマツと時を重ねるヴィラ〈GRAND TSURU NISEKO〉

日本有数のスキーリゾートとして国内外から高い人気を集める、北海道虻田郡ニセコ町。
冬はパウダースノーが広がる幻想的な雪景色、夏は緑豊かな山並みと清流が美しい、四季折々の自然に恵まれた地です。そんな雄大な環境の中に、レンタルヴィラ〈GRAND TSURU NISEKO〉(グラン・ツル・ニセコ)が2024年12月に完成しました。

GRAND TSURU NISEKO

スキー場から車でわずか2分という好立地でありながら、静かな林道沿いにひっそりと佇むその姿は、まるで隠れ家のよう。シラカバやナラの木々に囲まれたロケーションは、まるで森に抱かれているかのような心地よさを与えてくれます。

GRAND TSURU NISEKO(全3棟+水源施設1棟)
所在地 :北海道虻田郡ニセコ町
規模  :木造2階建て
用途  :レンタルヴィラ
採用製品:カラマツナチュレウォール ランダムワイドサイディング

本プロジェクトの設計を担当したのは、札幌市を拠点に活動する〈ABD Architecture LLC〉(ABD建築合同会社、以下ABD)です。代表を務めるFranck Giral(フランク・ジラール)様は、2007年よりニセコ町を中心に、土地開発や別荘、多目的施設など幅広い建築を手がけられています。GRAND TSURU NISEKOでは、そのデザイン性と持続可能な取り組みが高く評価され、これまでに20を超える国際的な建築アワードを受賞しています。

今回は、Franck様にメールインタビュー形式でご協力いただき、当プロジェクトの設計背景や木製外壁の魅力、素材選びの視点などを伺いました。

自然と調和する設計、豊かに表情を変えるカラマツの外壁

GRAND TSURU NISEKOは、日本の文化と自然の美しさに着想を得て設計されました。水平と垂直が交差する伝統的な木組みを思わせる軽やかな構えに、深く張り出した軒が豊かな陰影をもたらします。さらに、金属サイディングと木製外壁が彩るファサードは、建物の端正な垂直性を際立たせ、造形美を引き立てています。

名前に込められた“鶴”が舞い上がる姿を思わせる外観

木製外壁には、弊社の〈カラマツナチュレウォール〉ランダムワイドサイディングをご採用いただきました。かつて枕木や電柱にも使われていたカラマツは、その硬さと適度な弾力性、そして腐りにくい特性が魅力です。

一方で、乾燥が難しく、その過程で節が抜けやすいという課題も抱えています。そのため、弊社では北海道産の赤みが強く良質な材を厳選し、人工乾燥によって品質の安定を図ることで、これらの課題をクリアしています。

カラマツナチュレウォール ランダムワイドサイディング

ランダムワイドサイディングは、縦方向にスリットを入れた独特の形状が特徴です。計4種の幅を自由に組み合わせられる仕様となっており、場所によって並びに変化を持たせるなど、デザインに豊かな表情と遊び心をプラスすることができます。

また、時を経るごとにカラマツの赤みと艶が深まり、表情に味わいが増していくのも、この外壁材ならではの醍醐味。木本来の温もりと経年変化による美しさが、住まいに深みと個性を与え、唯一無二の表情を演出します。

ご採用の理由について、Franck様は次のように語ります。
意匠、質感、耐久性、そして経年変化とのバランスが取れている素材として、カラマツウォールを選びました。建物の形状が横に長いため、縦方向に木製外壁とルーバーを用いることで、垂直のリズムを強調しています。これはフランク・ロイド・ライトの建築から着想を得たものです。」

冬の立木に呼応する、グレー塗装のカラマツウォール

「弊社では、均一でフラットな仕上がりよりも、素材のテクスチャーを活かしたデザインを重視しています。今回、外壁に異なる幅の木材をランダムに配置することで、建物全体に豊かな表情が生まれました。また、塗装をグレートーンにしたことで、時間とともに灰色へと変化するカラマツが、周囲の景観により美しく溶け込んでいくと考えています。」

暮らすように滞在する、上質なプライベートヴィラ

abd-architecture-llc-grand-tsuru-niseko-masterplans-archello.1739531075.9356
previous arrow
next arrow

3棟のヴィラは、いずれも延床約250㎡の2階建て。吹き抜けのある開放的なLDKを中心に構成され、3室のベッドルームにはそれぞれ専用のバスルームが備わっています。傾斜地という敷地条件を活かして設けられたスキップフロアは、空間に変化をもたらすとともに、開放感のある高天井を実現し、居心地の良いリビング空間を演出します。

GRAND TSURU NISEKO 説明資料

GRAND TSURU NISEKOは3棟が連なる構成ですが、それぞれのヴィラから森の風景が楽しめるよう、内2棟は方位を変え(反転し)、もう1棟は後退させる形で配置されています。

建築の洗練されたデザイン、居住性、そして自然との調和が心地よく融合したこのヴィラは、訪れる人々に日々の喧騒を忘れて静かに過ごせるひとときと、自然の中で心がゆるやかにほどけていくような時間をもたらします。

建築と環境の共生をめざして

数多くの開発プロジェクトに携わってきたFranck様は、建設が土地や周辺環境に与える影響についても、建築家として責任を持つべきだと考えています。そのため、建築過程で伐採された木の本数に応じて、新たな木を植える取り組みを、植林専門団体〈TEAM TREES〉(チーム・ツリーズ)の協力のもと行っています。

こうした背景から、ABDでは構造・床・外壁に可能な限り木材を採用。再生可能で環境負荷の少ない素材を選ぶその姿勢からは、開発プロジェクト全体の持続可能性を高めようという想いが感じられます。

最後に、設計において大切にしていることを伺いました。
「ABDでは、建築は自然と対話するものであるべきだと考えています。周囲の環境に調和するデザインを追求し、自然素材を活かしながら、時間とともに美しく変化する建築を目指しています。同時に、快適性、耐久性、実用性といった機能性も重視し、技術的な精度との両立を大切にしています。」

洗練されたデザインはもちろんのこと、自然環境への配慮と素材選びのこだわりが、GRAND TSURU NISEKOの魅力を形づくっているのだと感じました。カラマツの外壁が時を重ねて味わいを深めていく頃、この建物は訪れた多くの人々の記憶に残り、愛される場所となっていることでしょう。

この度は、弊社のカラマツナチュレウォールをご採用いただき、誠にありがとうございました。そしてご多忙の中、インタビューにご協力くださった〈ABD Architecture LLC〉代表 Franck Giral 様に、心より感謝申し上げます。

GRAND TSURU NISEKO
北海道虻田郡ニセコ町曽我545-7
https://www.grandtsuru.com/

ABD Architecture LLC(ABD建築合同会社)
北海道札幌市中央区南3条西10丁目1002-1 S310ビル 502号
https://www.abd-architecture.com

弊社納材商品
外壁:カラマツナチュレウォール ランダムワイドサイディング 20㎜×144㎜×3,650㎜

チャネルオリジナルは、国内外の多様な建材のご提案を通じて、お客様の家づくりと真摯に向き合い、価値ある家づくりを支えるパートナーでありたいと考えています。それぞれの現場や想いに寄り添えるよう、今後も全力でサポートを続けてまいります。