賃貸でも豊かに暮らす、住まいの新たなカタチ

仙台駅から電車で約20分、宮城県の南部沿岸に位置する岩沼市。
海、山と自然に恵まれながら、利便性も兼ね備える“ちょうどいい暮らし”がかなう街に、ライフスタイル型賃貸住宅〈apartment BEAVER〉が誕生しました。

こちらを手がけられたのは、株式会社L・P・D様です。『伝統的な素材、職人の技術、住まい方、暮らし方、その地域に長年愛されているコンテンツ、産業、と地域に存在する様々な資源=Local Piece』を尊重し、丁寧にデザインすることで、豊かな地域を形成していく。住宅から公共空間まで、街全体を対象とした幅広い企画設計を行われています。

apartment BEAVER

〈apartment BEAVER〉は、L・P・D代表・洞口夫妻のご自宅兼ショールームに美容室を併設した「複合古民家実験住宅」のある敷地、TateshitaCommon内に新築されました。計3世帯のメゾネット式住戸に、共用のお庭とサウナが併設。お庭では焚き火やBBQといったアウトドアを愉しむことができ、家族はもちろん、住民同士のコミュニケーションが自然と生まれる設計デザインがなされています。

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アパートの外壁には、屋久島地杉のスムースボード(以下:S4S)をご採用いただきました。
サイズバリエーションが豊かなS4Sならではの、大和張り(=板を数センチずつ重ね張りする工法)で仕上げられた外観。1層目は厚さ15㎜(巾90)、2層目は厚さ20㎜(巾120)=最大で35㎜の厚みを有しているため、一般の杉よりも油分を多く含む地杉の「耐久性」がさらに高められています。

また、玄関前に植わったモミジやアオダモ、地場素材の大蔵寂土の土壁、また、築60年以上の古民家住宅とも調和する「屋久島地杉の素朴な表情」は、自然豊かな街の風景にも溶け込みます。年を重ねるごとに植栽は成長し、木の外壁は味わい深さを増していく。長きに渡り、この豊かな変化を愉しめる佇まいは、まさにL・P・D様が尊重するLocal Pieceが体現されていると言えます。

写真:2階LDK部分。正面右手の壁には、地場素材である大蔵寂土を採用。着色はせず、寂土そのものが持つ色を生かしている。

『賃貸でも豊かに、持ち家以上に楽しく。』
をキャッチフレーズに、豊かな暮らしを形成するための様々なコンセプトが込められた当建築。

中でも特筆すべきは、『ENERGY-省エネルギーで健康的な暮らし-』です。宮城県内の賃貸アパートでは初となる、HEAT20 G2クラスの高断熱性能(=UA値0.34W/㎡K)を有しています。屋根にグラスウールを300㎜、壁は充填断熱と付加断熱で計130㎜、さらには基礎断熱(=床下も室内空間と考え、基礎のコンクリート自体を断熱材で覆う工法)を施工。玄関には、木の蓄熱性を活かした木製ドア(U値0.96W/㎡K)を設え、建物全体で断熱性と気密性を確保しました。

この高い外皮性能によって、1住戸67㎡・3LDKのメゾネットにおいても、6畳用のエアコン1台で室温調整が可能とのこと。同規模の一般的な賃貸住宅に比べると、約半分の光熱費でまかなうことができるなど、人にも環境にもやさしい暮らしが実現されています。

写真:1階の玄関土間には、木質バイオマスを燃料とするペレットストーブが。玄関先から空間全体をじんわりと温めます。

最後に

ライフスタイルに重きを置いた〈apartment BEAVER〉。
立地や賃料が大きな判断基準となりやすい日本の賃貸住宅において、当建築は「豊かな暮らし」を提案してくれる稀少な存在であると感じました。

共用のお庭では、マルシェや建築ツアーといった一般イベントも定期的に開催されています。機会がございましたら「賃貸住宅の新たなカタチ」をぜひ体感されてみてはいかがでしょうか。(Yano)

弊社納材商品
屋久島地杉 節有 スムースボード(外壁)
ネオマフォーム(断熱材)
ユーロトレンドG 木製断熱玄関ドア(バーチ)

設計
株式会社L・P・D(HP

LIVING -model room-
〒989-2441
宮城県岩沼市館下3丁目1-23

OFFICE IWANUMA MIYAGI
〒989-2432
宮城県岩沼市中央3丁目6-8