アルチザン”職人”としての家づくり

場所は富士山のお膝元、静岡県富士宮市。とある分譲地にひときわ目立つ3棟の木の家が佇みます。この設計・施工を手がけたのは、静岡県富士市を拠点とする工務店 株式会社マクス様。今回、販売型モデルハウス〈小泉町家〉(写真左)に迎えていただき、代表の鈴木社長に「マクスの家づくり」についてお話を伺いました。

一昨年前に竣工した〈木の外壁の街角-西・東〉(写真左)と販売型モデルハウス〈小泉町家〉(写真右)
3棟の外構の素材、色合いを統一したことで、連なりのある美しい街並みを形成している。

マクス様(以下、マクスと略称)は創業当時、富士市の住宅リフォームを中心になさっておりましたが、第136回 住宅新築ガイド インターネット設計コンペに出場し、耐震・耐久性を備えた木造住宅『時を刻む家』が優勝。それを機に、長持ちし安心できる自然素材を用いた『こだわりの木の家づくり』へと舵を切られました。本物の素材にこだわり、天竜材の軸組、由布珪藻土の壁、米ぬかで仕上げられた無垢床、そして弊社のウイルウォールを外壁に使用する一方、HEAT20 G2、耐震等級3以上を標準とし、品質・性能面も強化されています。

アルチザン”職人”とは

鈴木代表が毎日欠かすことなく発信される『社長ブログ』。その冒頭はいつも「家族の笑顔と絆を結ぶアルチザン マクス社長の鈴木です」という印象的な挨拶から始まります。「伝統的な芸術を担う職人」という意味を持つフランス語のアルチザン(artisan)、このシンボリックな単語をお選びになった背景には鈴木代表の家づくりに対する二つの想いがあるのだとブログに綴られていました。

その想いとは…。
一つは、漫画界の巨匠・手塚治虫が後進に残した『アーティストになるな、アルチザンになれ。』という言葉に惹かれ、家づくりへの想いを重ねられたのだと鈴木代表は言います。
「独りよがりなデザインを追求するのではなく、建て主に寄り添い、建て主目線で、相手のことを考えながら、というのが、まさにこのアーティストよりアルチザンたれ、の意だと思います。」(Macs STORYから引用)
もう一つは、宮大工だった曾祖父様から代々受け継がれてきた「職人的な技術」を守っていきたいという想いがアルチザンという言葉にリンクされたのだそうです。

マクスの掲げる『こだわりの木の家』は、そうしたアルチザン“職人”的な姿勢で家やお施主様と向き合い、実現されているのだと鈴木代表は語ってくださいました。

『アーチストになるな 手塚治虫』竹内オサム著(ミネルヴァ書房)

「家を建てたら、建てたものとしてその後も責任が伴いますよね。だからこそ、設計の段階から住む人と同じ目線で『地震が起きたらどうしよう』『家に火が着いたらどうしよう』って考えるんです。その想像力が家づくりや素材選びにも繋がっていきます。」(鈴木代表)

販売型モデルハウス〈小泉町家〉

小泉町家を設計するにあたりマクスがこだわったのは“小さな街並みの形成”。
先に竣工したお向かいの住宅とウイルウォールをはじめとしたエクステリアの素材、形状、塗装を合わせたことにより、連なりのある美しい木の街並みを実現なさっています。

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玄関に通ずるアプローチにはモルタルの表面に型を押し転写する『スタンプコンクリート』を採用したことでモダンな風合いに。
敷地の角に植えられた株立の桂は街の“シンボルツリー”として凛と佇んでいる。

予備の駐車場に敷き詰められているのは『大沢石』という富士山の大沢崩れから許可を取り採掘された粗削りな玉石。社長ブログでは“富士山の分身”と書かれておりましたが、その言葉通りの存在感を放っていました。こちらは、建築家 堀部安嗣様の施工をマクスが担当した際に、アトリエ心庭様がなさっていた手法を再現されたのだそうです。

2方向道路の角地に位置する小泉町家の玄関前。『桧の格子』を設けることで目隠しに。
その前にある予備の駐車場には富士山の分身“と言われる『大沢石』が美しく敷き詰められている。

このモデルハウスは『こだわりの木の家』と同じ仕様で施工がなされているため、基礎、外壁、内装のすべての素材が“本物”。室内に入ると杉のフロアに塗装された『柿渋のカラーワックス』の香りが仄かにしました。このワックスは、京都山域で採れた天王柿が主原料のため、お子様が間違って舐めてしまっても安心、安全。塗料ひとつの選択からマクスのこだわりが伝わります。

家全体のフロアには「東大寺」「熊野本宮」にも使用されている株式会社トミヤマ様の『柿渋塗料』を採用している。

取材で伺った4月8日は、まだ通り抜けてゆく風の中に冷気を感じる春の日でしたが、室内は無暖房でありながら暖かく感じました。それは、屋根に24㎝、壁に12㎝の『ウッドファイバー(木質断熱材)』が隙間なく丁寧に施工されているからこそ実現された温もりだったのです。

このウッドファイバーをお選びになったのは、北海道のトドマツやカラマツの間伐材や林地残材をチップにし原料にしている点と、断熱性能だけでなく蓄熱性能、調湿性が高いという点、それから、最終的には土に還る素材であるという三点。兼好法師が『徒然草』で「家の作りようは、夏を旨とすべし」と言うように昔の茅葺屋根の家は、夏は涼しいですが、冬は寒くてたまらない。それを現代版にアップデータし「夏も、冬も旨とした」のがウッドファイバーなのだと伺いました。

マクス様との15年間

最後に、マクスとチャネルオリジナルの出会いから今に至たるまでの繋がりについて触れさせていただきます。出会いは、古くからご縁のあるお客様が鈴木代表に弊社をご紹介いただいたのがきっかけとのこと。それから15年間、マクスの新築住宅の標準外壁には『ウイルウォール』をご採用いただいております。

これまで、商品を介してお施主様向けの「オープンハウス」や「家づくり勉強会」に歴代の営業担当が参加させていただいたり、ウイルウォールの燃焼実験を行っていただいたりと、様々な形でマクスの家づくりに携わらせていただきました。
今回、一緒に取材へ伺った大柳(本社)も歴代の担当営業のひとり。『社長ブログ』を遡ってゆくと、
当時のことについて次のように綴っていただいておりました。

「もうかれこれ10年近い付き合いの、あるメーカーの熱き(暑苦しき)営業マン。大柳さんは、チャネルオリジナルというメーカーで、マクスのおなじみの木の外壁(ウイルウォール)は、こちらの拘りの一品、ということになります。」(社長ブログ『勉強会と相談会』2015年より引用)

取材の終盤、弊社商品を継続してご採用いただいている理由を鈴木代表に尋ねると、
「燃えない、燃え広がらないというウイルウォールの機能性も重要。ですが最終的な決め手は『人』ですよね。もし同じ機能を持った商品があったとしても、商品の背景に込められているストーリーや、そこに関わる人の想いが見えるものを選びたいと思うんです。」

弊社営業 大柳(写真左)とマクス株式会社 代表取締役社長 鈴木様(写真右)

目に見えるものから、見えないものまで。その素材ひとつひとつに携わる人や、纏わるストーリーをも大切にし、設えられた『マクスのこだわりの木の家』。販売型モデルハウス<小泉町家>に訪れる機会がございましたら、「素の美しさ」を是非体感していただきたいと思います。今回の取材に際しご協力いただいた鈴木代表、マクスの皆様本当にありがとうございました。(hieshima)

マクスの本社近くから臨む絵に描いたように大きな富士山。
この美しい風景も、鈴木代表との出会いも一生忘れられない思い出となりました。(hieshima)

会社情報
株式会社マクス一級建築事務所
〒417-0801
静岡県富士市大淵3256-2

365日マクスの家づくりについて綴られるブログ社長ブログ
☞本日公開された(7月22日)Vol. 4,023『オールドグロスという価値』でウイルウォールの基材である「ウエスタンレッドシダー」について触れていただいております。ぜひご覧ください。